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読書:シャーロック・ホームズの思考術(Mastermind: How to Think Like Sherlock Holmes)

著者:マリア・コニコヴァ(Maria Konnikova)


2014 年 1 月 24 日 発売。書店で「あなたもホームズになれる!」と帯に目が留まり、シャーロック・ホームズに関係した本のようで、自己啓発本的な雰囲気を醸し出していました。シャーロック・ホームズになりたいわけではありませんが(私は東洋人だし)、ホームズ関連書籍は「コナン・ドイル シャーロック・ホームズの代理人」を最後に久しく読んでいないので購入ました。

著者がハーバード大学卒、コロンビア大学で博士号を取得(心理学専攻)したマリア・コニコヴァ(Maria Konnikova)さんで、思考能力(技術)を向上させたい、なおかつ、シャーロック・ホームズのファンのに向けた内容です。専門的な研究書が苦手な人にも読みやすくなっています。翻訳は日本シャーロック・ホームズ・クラブ会員の日暮雅通(ひぐらしまさみち)さんです。

「四人の署名」メアリー・モースタン嬢と初めて会ったときのホームズとワトソンの思考を考察するのが興味深かったです。固定概念、先入観により、人を外見で判断する過程を説明しています。科学的思考法を「ワトソン・システム」と「ホームズ・システム」に例え、同じ状況に遭遇しながら、ホームズとワトソンが察知する内容の違いを順を追って説明しています。第一部「自分自身を理解する」、第二部「観察から想像へ」で頻繁に登場する用語は以下。

  • マインドセット:行動の開始から目的の達成までのプロセスに特徴的な認知・思考状態。
  • マインドフル:頭が働いている状態。
  • マインドネス:頭が働いていない状態。
  • マインドフルネス:頭脳の影響力、注意深さがある状態。
  • モチベーション:積極的な関与の欲求ややる気。
  • バイアス:先入観。
  • ステレオタイプ:固定観念。
  • プライム:先行刺激。

そして第三部がホームズファンが好むと思われる「推理の手法」となります。実は論理学的な用語で言えば、ホームズのいくつかの推理は、厳密には帰納法あるいは仮説推論(または還元法)と呼ばれます。ホームズのいう推理と、形式論理学でいう演繹法は別物で、純粋理論においては、演繹とは一般原則から個別事例へといたることを意味します。最も有名ななのは次の例。

  • すべての人間は死ぬべき運命にある。
  • ソクラテスは人間である。
  • ソクラテスは死ぬべき運命にある。

いわゆる三段論法ですね。しかし、ホームズにとっては、これは結論へといたるひとつの方法でしかないとあります。ホームズが判断を誤った事にも言及されており、「自信過剰の危険性」「自信過剰の兆しを見抜く学習」なども興味深い内容でした。

第四部「自己認識と科学の手法」の第八章「私達はただの人間でしかない」では、アーサー・コナン・ドイル氏が晩年に時間を費やした心霊主義にも触れています。有名なところでは、イギリスのブラッドフォード近くのコーティングリー村に住む二人の姉妹が撮影した妖精の写真「コティングリー妖精事件」です。シャーロック・ホームズのモデルは外科医であるジョゼフ・ベル博士で、ホームズ物語の著者であるアーサー・コナン・ドイルは、実際にいくつかの事件で冤罪を晴らしています(本書でも取り上げられています)。そんな推理力がありそうな人が、なぜ妖精を撮影した少女の話と写真に騙されたのか、当時の写真に関する技術的な常識や、時代背景を元に解説もあります。

第二章「先入観(バイアス)の影響」では、有りもしないでたらめな情報操作や、発言の揚げ足取りなどに相通ずるものがあります。先に与えられた情報は、後で「間違いでした」と修正しても、脳には最初の情報が残ってしまい、印象が変わることがありません(内閣支持率もね!)。それに踊らされてコメント欄で罵倒し合うのも虚しい行為です。

先入観や固定観念で物事を見ていると、ホームズの言葉“You see, but you do not observe,(君は見ているが、観察していない。)”になりますよ!「バスカヴィル家の犬」でモーティマ医師が忘れていったステッキから推理するホームズとワトソンの脳の違い、「緋色の研究」でワトソンがアフガニスタン帰りだと推理した経緯、「四つの署名」でメアリー・モースタン嬢を見るホームズとワトソンの脳の違い、などなど、ホームズとワトソンの頭の中を丁寧に解説しています。


シャーロック・ホームズの思考術




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