シャーロック・ホームズ

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相棒 シーズン12 「右京さんの友達」と
シャーロック・ホームズ



2014 年 1 月 22 日(水)に放送されたドラマ「相棒 シーズン 12」の「右京さんの友達」を見て、シャーロック・ホームズを連想させる物語だったので紹介します。


第13話「右京さんの友達」|相棒 season12|テレビ朝日

「孤独の研究」と「緋色の研究」

杉下右京がパソコンに向かって執筆している「孤独の研究」は、シャーロック・ホームズの「 緋色の研究 」を連想させ、哲学の「孤独は山の中ではなく、街の中にある」は、歌詞や映画の世界観にもそれを感じるときが多々あります。



「あの人」と「あの女」

杉下右京:”10人目の助手であるK君は、「あの人、なんで僕らを呼んだんですかね?」と、今日すでに2回もつぶやいた”

というセリフがあり、この「あの人」こそ、シャーロック・ホームズの「 ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia) *」に登場する「あの女(To Sherlock Holmes she is always The Women.)」を連想しました。「シャーロック・ホームズの冒険」では、シャーロックを唯一出し抜くアイリーン・アドラー(Irene Adler)女史が「あの女」ですが、このドラマでも「あの人」が杉下右京を出し抜くのかと期待しました。しかしながら、シャーロック・ホームズはアマチュアの私立探偵であり(BBC製作の「 シャーロック 」ではコンサルタント探偵となっている)、「相棒」の杉下右京(すぎしたうきょう)は警視庁のプロゆえ、犯罪を座視する立場になく、犯人が出し抜く事は倫理的に無理でしょう(本来、創作物であるドラマや映画は可能なはずですが)。

*ボヘミアの醜聞は短編小説で、「 シャーロック・ホームズの冒険 」に集録されています。



杉下右京は和製シャーロック・ホームズと呼ばれ、過去にイギリスのシャーロック・ホームズ像と向き合うシーンも撮影されています。このドラマに登場する「あの人」は、犬と紅茶を愛する毒島幸一(ぶすじまこういち)42才、小説の批評家です。高学歴で協調性に乏しく、純粋に学術的な間違いを教授に指摘したことで、冷遇され研究者となる道は閉ざされました。ということは、研究者や教授は能力ではなく協調性が重視されているのか(笑)。毒島幸一は杉下右京の部下、甲斐享(かいとおる)をワトソンと呼び、杉下右京と甲斐享に指摘した内容が印象的です。杉下右京には「孤独と孤高は違います。あなたはその能力ゆえに、孤高の存在なのでしょう。」と言い、甲斐享には「助手と言うと聞こえが悪いかも知れないが、ワトソン君は頼れる相棒なんだ。ワトソン無しじゃ、ホームズは立ち行かない」と言いました。


イギリス風なインテリアと紅茶

毒島幸一は取り壊しが決まったアパートで暮らし、靴を脱がずに部屋を使っています。この部屋がイギリスの部屋みたいなインテリアで(アンティークではないが)、「元々アパートは、イギリスの産業革命のときに、労働者が住むために発達したものですからね。僕のような低所得者にはぴったりです。」と言い、シャーロック・ホームズが生きた階級社会のイギリスを彷彿とさせます。この素敵なアパートの一室で、毒島幸一、杉下右京、甲斐享の三人が茶会を楽しみます。紅茶好きにもお勧めできる作品です。


「あの人」は「友達」

僕と「あの人」の関係をどう呼べば良いのか悩む杉下右京に、甲斐享が答えを出すラストシーンも感動的です。警視庁捜査一課刑事・伊丹憲一(いたみけんいち)に「その人は?」と問われたところ、甲斐享が「右京さんの友達です」と答えます。このドラマの「あの人」は、シャーロック・ホームズ物語にありがちな、女性が絡む殺人事件の犯人(被害者が死を望んだ)になってしまいましたが、紅茶という共通の趣味を持った「杉下右京の友達」なのです。


「シャーロック・ホームズ」と「相棒」

「シャーロック・ホームズ」のファンには、「相棒」のファンも多くいると思います。ときどき物語が重なるところもありますが、それは、この手のミステリ物語はシャーロック・ホームズが原点になっているからだと言っても過言ではありません。もちろん、シャーロック・ホームズを著したアーサー・コナン・ドイルもまた「ポー」の影響下にあり、「ポー」も何かの影響下にあったのかも知れません。

この素晴らしいドラマを見て、私としては「あの女」の登場を切に願います。和製シャーロック・ホームズを出し抜く和製アイリーン・アドラーを登場させて欲しいのですが、もちろん犯人に出し抜かれたとなると、ドラマ的に問題があるかも知れません(個人的には良いと思うけど)。何か違う登場人物で、たった一回だけ「あの女」を登場させて欲しいものです。


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